相続は現金か不動産か?相続税対策で損しない選び方

相続財産として何を受け継ぐか、その選択は将来の経済的基盤に深く関わってきます。
多くの場合、現金で受け取るか、あるいは不動産として引き継ぐかの二択が考えられますが、どちらがより有利になるのか、その判断は容易ではありません。
特に、不動産を相続する際には、相続税の負担を軽減できる可能性が指摘されています。
今回は、相続財産を巡る現金と不動産の選択肢について、それぞれのメリット・デメリット、そして経済的な有利性を多角的に検証していきます。

不動産相続は相続税対策になる

相続税評価額は現金より不動産の方が低くなる

相続税の計算にあたっては、財産の種類ごとに定められた評価方法に基づいて評価額が算定されます。
現金や預貯金は、その額面通りの金額が相続税評価額となりますが、不動産の場合は、一般的に実際の市場価格(実勢価格)よりも低い相続税評価額が適用される傾向にあります。
例えば、土地の評価においては、公示価格や固定資産税評価額を基に路線価方式や倍率方式などで計算されますが、これらは実勢価格の7〜8割程度とされることが少なくありません。
建物についても、建築価額から減価償却を考慮した評価額となるため、結果として現金よりも不動産の方が相続税の課税対象となる財産総額を圧縮できる可能性が生じます。

小規模宅地等の特例で評価額が最大8割減る

相続税の計算において、不動産を相続する際の節税効果をさらに高める制度として、「小規模宅地等の特例」が存在します。
この特例は、被相続人や相続人が居住していた土地や、事業で使用していた土地といった特定の宅地について、その評価額を一定割合まで減額できるというものです。
例えば、配偶者や同居親族が自宅として使用していた土地(特定居住用宅地等)を相続した場合、限度面積内であれば評価額が8割減額されます。
また、事業用の土地(特定事業用宅地等)についても、要件を満たせば同様に評価額が減額され、相続税の負担を大幅に軽減することが可能となります。
この特例の適用は、不動産相続における税負担軽減の強力な手段となり得ます。

貸家建付地評価で節税効果が期待できる

土地の上に賃貸用の建物を建てて第三者に貸し付けている場合、その土地は「貸家建付地」として相続税評価額が減額されることがあります。
貸家建付地としての評価額は、その土地を更地(自用地)として評価した場合の価額から、賃借人が建物を借りていることによる借地権割合と、建物を賃借していることによる賃貸割合を考慮して計算されます。
具体的には、自用地としての評価額に、一定の割合(例えば、賃借人の占有割合が90%であれば、90%を乗じた額が減額される)を乗じた額が減額されるため、自用地として評価する場合よりも相続税評価額が低くなります。
これにより、不動産賃貸事業を通じて、相続税対策としての節税効果を期待することができます。

相続資産は現金と不動産どちらが有利か

現金相続は納税資金確保と遺産分割が容易

相続財産を現金で受け継ぐことの最大のメリットは、その流動性の高さにあります。
相続税の納税は、原則として相続開始から10ヶ月以内に行う必要があり、多額の納税資金が必要となるケースが少なくありません。
現金で相続していれば、そのまま納税資金に充てることができ、納税資金の準備に頭を悩ませる必要がなくなります。
また、遺産分割においても、現金の分割は金額で分けやすく、相続人同士の話し合いも比較的スムーズに進みやすい傾向があります。
物理的な分割が容易であるため、遺産分割協議における争いを回避しやすいという利点も挙げられます。

不動産相続は管理換金の手間とコストがかかる

一方で、不動産を相続する際には、その管理や換金に手間やコストがかかるというデメリットが存在します。
相続した不動産は、そのまま所有し続ける場合でも、固定資産税や都市計画税といった税金の負担に加え、建物の維持管理費、修繕費、あるいは賃貸物件であれば家賃の徴収や入居者対応などの管理業務が発生します。
また、相続した不動産を売却して現金化したい場合でも、不動産業者への仲介手数料、登記費用、譲渡所得税などの税金、場合によってはリフォーム費用など、多額のコストがかかる可能性があります。
このように、不動産は現金に比べて維持管理や換金に手間と費用を要する資産と言えます。

不動産の種類や立地で損得が大きく変わる

相続する不動産の種類やその立地条件によって、経済的な損得は大きく変わってきます。
例えば、都市部にある駅近のマンションや、需要の高い地域にある土地などは、相続税評価額が実勢価格と比較して低く抑えられる割合が小さかったり、換金性が高かったりする一方で、活用次第では高い収益を生み出す可能性もあります。
しかし、地方の過疎地域にある空き家や、維持管理が困難な山林などは、相続税評価額が低いとしても、固定資産税や管理費用といった維持コストが相続人の負担となり、かえって負の遺産となるケースも少なくありません。
このように、不動産を相続する際には、その特性を十分に理解し、将来的な収益性や換金性、管理負担などを総合的に判断することが極めて重要です。

まとめ

相続財産として現金と不動産のいずれを選択するかは、将来の資産形成において重要な意味を持ちます。
不動産相続では、相続税評価額の低減や小規模宅地等の特例、貸家建付地評価といった仕組みを通じて、相続税負担を軽減できる大きな可能性があります。
一方で、現金相続は納税資金の確保や遺産分割の円滑化という利便性があります。
しかし、不動産相続には管理や換金の手間、コストが伴い、その損得は不動産の種類や立地によって大きく左右されるため、慎重な検討が不可欠です。
ご自身の状況に合わせた最適な選択が求められます。

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